バレエ熱、アイドル並みに沸騰!日本人ファンが国内バレエ団を後押し
近年、日本におけるバレエの人気が急上昇している。これまでは一部の愛好家や芸術ファンに支えられていたクラシックバレエだが、いまや若い世代、特に20代・30代の女性を中心に“推し活”の対象として注目を集めている。
バレエダンサーたちがInstagramやYouTubeなどで日々の練習風景や舞台の裏側を公開することで、ファンとの距離が一気に縮まっている。「アイドルと同じように、ダンサーの名前を覚えて、公演に何度も足を運んで応援するのが楽しい」と語るのは、都内在住の28歳会社員・佐藤さん。彼女はお気に入りの男性バレエダンサーの舞台を月に数回観に行っており、グッズや公演プログラムもコレクションしている。
このような“バレエ推し”の動きは、従来の観客層とは異なる、新しいファン層の拡大につながっている。
チケットは完売、グッズも即完
東京バレエ団や新国立劇場バレエ団、Kバレエカンパニーなど、国内主要バレエ団の公演チケットは発売直後に完売するケースも増えている。特に「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」などの有名演目だけでなく、現代バレエやオリジナル作品にも注目が集まり、幅広い演目に観客が足を運ぶようになっているのが特徴だ。
また、出演ダンサーのブロマイド、缶バッジ、公演パンフレットといったグッズも「ライブ物販」のように販売され、公演ごとに新商品を求めて並ぶファンの姿が見られる。
バレエ人気は東京や大阪といった大都市圏だけにとどまらず、地方都市にも広がっている。新潟、福岡、札幌などで開催される全国ツアーでも満席が続出し、「地元でハイクオリティなバレエを観られるのがうれしい」という声が多く寄せられている。
中には地域の文化振興の一環として、地元の子どもたちを対象にしたバレエ体験ワークショップを開くケースもあり、芸術教育の面でも好影響を与えている。
かつて「バレエ=お金がかかる習い事」「敷居の高い芸術」という印象が強かったが、最近では「努力の象徴」「身体能力の高いアーティスト」として、ダンサーに憧れる若者も増加。フィギュアスケートやK-POPダンスに親しんでいる層が、自然にバレエに興味を持つ流れも生まれている。
また、男性ダンサーの人気も高まっており、「美しいだけでなく、鍛え抜かれた肉体や表現力がすごい」と、同性の観客からの支持も厚い。
経済効果にも期待
この“バレエブーム”は、芸術業界だけでなく経済にも好影響を与えている。公演チケット、グッズ、関連イベント、そしてダンサーによる書籍や写真集などの出版物など、関連市場の拡大が見込まれている。
また、企業とのコラボレーションも進んでおり、バレエ団とファッションブランドが共同で衣装を制作したり、舞台演出に映像技術やARを導入したりするなど、新しい試みも登場している。